カナダ向け輸出りんご検疫実施要領

沿革
平成30年7月5日 30消安第1510号
第1 趣旨
1 カナダへ輸出するりんごの生果実(以下「カナダ向けりんご」という。)のうち、袋かけ、くん蒸及び低温処理を行わない場合について、カナダ向けりんごの生産者、選果技術員、選果こん包施設の責任者等が実施する園地管理、収穫、選果こん包等が関係法令に従って適切に実施されることを確保するとともに、植物防疫官が行う検疫を斉一に実施することをもって、我が国からのカナダ向けりんごの円滑な輸出を確保するため、本要領を定める。
2 カナダ向けりんごの検疫については、植物防疫法(昭和25年法律第151号)、植物防疫法施行規則(昭和25年農林省令第73号。以下「規則」という。)及び輸出植物検疫規程(昭和25年8月4日農林省告示第231号)に定めるもののほか、この要領により実施するものとする。なお、栽培地検査実施細則(昭和32年4月9日付け32振局第1065号振興局長通達)は、カナダ向けりんごの検疫には適用しない。
 
第2 定義
この要領において、「りんご」とは商業的に生産されるMalusspp.をいう。 
 
第3 検査補助員の設置
1 植物防疫所長(那覇植物防疫事務所長を含む。以下同じ。)は、第4の栽培地検査の確認を補助させるため、病害虫に関する知識を有し、かつ、カナダ向けりんごの売買に直接利害関係を有しない者を、カナダ向けりんご検査補助員(以下「補助員」という。)として、第1号様式による辞令を交付して委嘱できるものとする。
2 補助員は、カナダ向けりんごを生産する都道府県(以下「都道府県」という。)の主務部長が推薦した者の中から委嘱するものとする。
3 植物防疫所長は、補助員を委嘱したときは、当該補助員に対し、当該補助員が担当すべき地域及び事務の内容を指示するものとする。
4 補助員が担当する地域を管轄する植物防疫所(那覇植物防疫事務所、支所及び出張所を含む。以下同じ。)の植物防疫官は、当該補助員に対し、当該補助員が担当すべき事務に係る講習及び指導を行うものとする。
 
第4 栽培地における検査及び生産園地の登録
カナダ向けりんごを生産する園地について、規則第24条第1項の規定に基づき、栽培地における検査(以下「検査」という。)の申請が行われた場合、植物防疫官は、生産園地の登録を行った上で、検査を行うものとし、その具体的な手続は以下のとおりとする。
1 カナダ向けりんごを生産する者(以下「生産者」という。)又は生産者が属する生産者団体等(以下「生産者団体等」という。)の責任者は、次の(1)から(5)までの措置が的確に実施される生産園地をカナダ向けりんごの生産園地とするものとし、当該園地について検査を申請するものとする。
(1)生産園地の所在する都道府県において、カナダが侵入を警戒する別表の検疫対象病害虫(以下「検疫対象病害虫」という。)について、発生予察事業又はそれに準ずる調査が実施されること。
(2)都道府県等が定める防除指針及び防除暦並びに(1)の調査に基づく発生予察情報等を活用して、都道府県の指導の下、検疫対象病害虫について適切な防除が行われること。
(3)輸出対象の生果実を収穫する樹木は、病害虫寄生果、奇形果、傷果、腐敗果、過熟果等(以下「異常果実」という。)の除去が行われること。また、病害虫寄生枝葉の除去、剪定、下草管理等が実施されること。
(4)検査で、検疫対象病害虫が確認された場合は、当該病害虫の防除のための措置が適期に実施されること。
(5)(2)から(4)までの措置の実施状況について、生産者により、生産園地の管理に係る記録が作成され、登録された年の4月から2年間保管されること。
2 生産者又は生産者団体等の責任者は、1の申請に当たっては、栽培地検査申請書(規則別表12号様式)を作成の上、都道府県に提出し、都道府県は栽培地検査申請書を取りまとめ、発生予察事業又はそれに準ずる調査の対象とする病害虫がわかる資料を添えて、毎年5月1日までに当該生産園地の所在地を管轄する植物防疫所の植物防疫官に提出するものとする。
3 2で栽培地検査申請書の提出を受けた植物防疫官は、提出された申請書の内容に基づき、カナダ向けりんご登録生産園地一覧表(第2号様式)(以下「登録生産園地一覧表」という。)により、カナダ向けりんごの生産園地を登録するとともに、都道府県を経由して、生産者又は生産者団体等の責任者に、当該生産者又は生産者団体等に係る登録生産園地一覧表を通知するものとする。
なお、カナダ向けりんごの生産園地の登録を行った植物防疫官は、当該登録生産園地一覧表を登録した年の4月から2年間保管するものとする。
4 3で植物防疫官により登録されたカナダ向けりんごの生産園地(以下「登録生産園地」という。)を管理する生産者は、当該登録生産園地ごとに規則第24条第2項の表示(規則第13号様式。以下「標札」という。)を見やすい場所に表示するものとする。
5 植物防疫官は、第3により補助員が設置されている場合は、当該補助員に対し、当該補助員が担当すべき登録生産園地及び事務を指示するものとする。
6 植物防疫官は、登録生産園地において、次により検査を行うものとする。
なお、検査を行う登録生産園地に、第3により補助員が設置されている場合は、その検査の一部を補助員に実施させることができるものとする。
また、登録生産園地を管理する生産者又はその代理人は、当該検査に立ち会うものとする。
(1)補助員が補助する検査の方法
補助員が補助する検査(以下「補助員検査」という。)については、次のとおり行うものとする。
ア 対象病害虫
  検疫対象病害虫
イ 実施時期及び回数
6月からカナダ向けりんごの収穫が終了するまでの間、原則として2週間に1回
ウ 検査の方法
補助員は、登録生産園地において、検疫対象病害虫の発生状況を目視により確認する。
エ 補助員検査の結果
補助員は、検査を実施するごとに、補助員検査の結果をカナダ向けりんご登録生産園地検査成績(第3号様式)により記録し、植物防疫官に提出するものとする。植物防疫官は、補助員から提出された検査結果を確認し、検疫対象病害虫が確認された場合には、発生を抑えるための防除(薬剤散布、寄生部位の除去、剪定等)を適期に実施するよう、補助員を通じて生産者に対して指導する。
  (2)植物防疫官の検査の方法
植物防疫官は、補助員検査が行われた場合は補助員の立会いの下で、補助員検査が行われなかった場合は当該補助員検査と同様の検査を自ら行った上で、当該検査の結果を基に、登録生産園地について次のとおり検査を行うものとする。
  ア 対象病害虫
  検疫対象病害虫
イ 実施時期
カナダ向けりんごの収穫前
ウ 検査の方法
植物防疫官は、登録生産園地において、検疫対象病害虫の発生状況を目視により確認する。
エ 植物防疫官検査の結果
植物防疫官は、検査の結果をカナダ向けりんご登録生産園地検査成績に記録する。
7 植物防疫官は、6の(2)の検査(6の(1)の補助員検査と同様の検査を自ら行う場合は、当該検査を含む。)の実施に当たって、検査の日程をあらかじめ生産者又は生産者団体等の責任者に通知するものとする。
なお、6の(1)の補助員検査を行う場合は、補助員から生産者又は生産者団体等の責任者に通知するものとする。
8 植物防疫官は、6の(2)の検査の結果、検疫対象病害虫が無発生又は低発生であることを認めたときは、当該登録生産園地の生産者又は生産者団体等の責任者に対し、栽培地検査合格証明書(規則第19号様式)を交付するものとする。
9 植物防疫官は、6の(2)の検査の結果、検疫対象病害虫が無発生又は低発生に維持されていないことが認められた場合や、その他本要領に定められた事項に適合していないことが認められた場合は、当該登録生産園地に係る第4の3の登録を取り消し、当該登録生産園地の生産者又は生産者団体等の責任者に対し、取消しの理由、標札を撤去すべき旨及び当該登録生産園地産の当該年産のりんごは殺虫処理を行わない条件ではカナダ向けに輸出することができない旨を通知するものとする。
10 9の通知を行った植物防疫官は、当該登録生産園地の生産者又は生産者団体等の責任者に対し、原因究明及び改善措置について報告を求めるとともに、植物防疫課長に報告するものとする。
11 10の報告を受けた植物防疫官は、必要に応じて現地確認を行い、その結果を植物防疫所長を通じて植物防疫課長に報告するものとする。
 
  第5 選果こん包施設及び選果技術員の登録
1 選果こん包施設の登録申請
(1)選果こん包施設の責任者は、カナダ向けりんご選果こん包施設登録申請書(第4号様式。以下「選果こん包施設登録申請書」という。)を、毎年カナダ向けりんごの最初の選果こん包の2週間前までに、都道府県を経由して、当該選果こん包施設の所在地を管轄する植物防疫所の植物防疫官に提出するものとする。
(2)選果こん包施設の責任者は、選果こん包施設登録申請書の記載内容に変更があったときは、速やかに修正後の選果こん包施設登録申請書を、都道府県を経由して、当該選果こん包施設の所在地を管轄する植物防疫所の植物防疫官に再提出するものとする。
2 選果技術員の登録
選果こん包施設の責任者は、病害虫寄生果の識別及び選別並びに選果従事者への技術指導を行う選果技術員を配置するものとする。
選果こん包施設登録申請書の提出を受けた植物防疫官は、選果技術員に対し、病害虫の識別に関する技術研修(以下「識別研修」という。)を実施し、受講者を識別研修の修了者として登録するものとする。
3 選果こん包施設の登録及び公表
(1)選果こん包施設登録申請書の提出を受けた植物防疫官は、選果技術員が識別研修を修了し、当該選果こん包施設登録申請書に係る選果こん包施設が次のアからウまでに掲げる要件を備えていることを確認した上で、第7の選果こん包を行う選果こん包施設をカナダ向けりんごの選果こん包施設として登録するものとする。
ア 検疫対象病害虫の侵入を防ぐ構造を有していること。また、夜間作業を行う場合には、施設の開口部の閉鎖又は防虫網等による被覆により検疫対象病害虫のガ類(リンゴコカクモンハマキ、モモシンクイガ、モモノゴマダラノメイガ、スモモヒメシンクイ、リンゴコシンクイ、ナシヒメシンクイ、Spilonota属及びキイロマイコガ。以下同じ。)の侵入を防止できること。
イ 選果のための十分な照明設備及び選果設備を有していること。
ウ 定期的に清掃が適切に行われており、その記録が保管されていること。
(2)植物防疫所長は、登録生産園地一覧表とともに、登録した選果こん包施設(以下「登録選果こん包施設」という。)の登録情報をカナダ向けりんご登録選果こん包施設一覧表(第5号様式。以下「登録選果こん包施設一覧表」という。)により、輸出開始予定日の20日前までに植物防疫課長に報告するとともに、登録選果こん包施設一覧表(選果こん包施設責任者氏名及び選果技術員氏名の欄を除く。)を植物防疫所ホームページに掲載するものとする。
なお、登録選果こん包施設の所在地を管轄する植物防疫所の植物防疫官は、登録選果こん包施設一覧表を登録した年の5月から2年間保管するものとする。
(3)カナダ向けりんごが選果こん包施設以外の保管施設で保管される場合は、当該保管施設の責任者は、1及び(1)に準じて、植物防疫官による当該保管施設の登録を受けるものとする。
(4)(3)で登録を行った植物防疫官は、登録した保管施設(以下「登録保管施設」という。)を(2)に準じて都道府県を経由して当該申請者に通知するものとする。また、植物防疫所長は、(2)に準じて植物防疫課長に報告するものとする。なお、登録保管施設を管轄する植物防疫所の植物防疫官は、登録保管施設一覧表を(2)に準じて保管するものとする。
(5)選果こん包施設又は保管施設の登録後に、(1)に掲げる要件を満たしていないことが判明した場合、植物防疫官は、当該登録選果こん包施設又は保管施設の責任者に対し、改善を指導し、改善が行われるまでの間は当該こん包施設でカナダ向けりんごの選果こん包を行わないよう指示するものとする。
なお、植物防疫官が改善を指導したにもかかわらず、改善が行われない場合には、植物防疫官は、当該登録選果こん包施設又は保管施設に係る登録を取り消すものとする。
(6)植物防疫課長は、カナダ食品検査局からの要請に応じて、(2)及び(4)により報告された登録生産園地一覧表、登録選果こん包施設一覧表及び登録保管施設一覧表をカナダ食品検査局に提出するものとする。
 
第6 収穫に当たっての遵守事項 
登録生産園地の生産者は、登録生産園地において、カナダ向けりんごを収穫する際には、次の事項を遵守するものとする。
1 異常果実を除去すること。
2 収穫したカナダ向けりんごを運搬する際は、運搬容器に、登録生産園地番号又はこれを参照できる符号や番号を表示する等により、トレーサビリティを確保すること。
 
第7 選果こん包等の実施
1 登録選果こん包施設におけるカナダ向けりんごの選果こん包、積込み作業等は、次により行うものとする。なお、選果作業を行う場合は、作業に従事する者の中に少なくとも1人の第5の2の登録を受けた選果技術員を配置するものとする。
(1)栽培地検査合格証明書により、登録生産園地で生産されたりんごであることを確認すること。
(2)選果こん包作業の開始前に、清掃を行い、その記録を保管すること。
(3)カナダ向けりんごは、選果、こん包、保管及び輸送の間、登録生産園地以外で生産されたりんご等の生果実と隔離されること。
(4)果実の生産園地が確認できるように選果こん包作業を行うこと。
(5)こん包に用いる容器及び包装材料は未使用で、清潔かつ病害虫に侵されていないこと。また、原則として密閉式の容器(通気孔を設ける場合は、検疫対象病害虫のガ類が侵入できない大きさのものとすること。)を使用するものとするが、非密閉式の容器を使用する場合には、次に掲げる病害虫再汚染防止措置を行うこと。
ア 密閉倉庫内で未包装のりんごと隔離して保管すること。
イ 海港又は空港へ輸送する際には、密閉式輸送機器を用いること。
(6)選果作業は、検疫対象病害虫を発見するために適切な照明設備及び選果設備を使用して行い、異常果実、土及び枝葉を選別すること。
(7)選果作業では、エアガン等を使用してダニ類、チョウ目等を取り除くこと。
(8)異常果実が発見された場合は、選別後直ちに施設外へ搬出し、廃棄すること。
(9)夜間に選果こん包等を行う場合は、検疫対象病害虫のガ類に汚染されないよう、施設の開口部を全て閉鎖又は防虫網等で被覆すること。
(10)各こん包の側面に、植物名又は品目名、生産国及び生産都道府県、登録選果こん包施設番号並びに登録生産園地番号を表示するとともに、カナダ向けの表示(For Canada)を行うこと(参考様式)。
2 登録選果こん包施設の責任者は、選果こん包等が1に掲げる事項を全て満たして行われたと判断した場合には、カナダ向けりんご選果こん包実施報告書(第6号様式。以下「実施報告書」という。)を2部(輸出検査申請書添付用及び輸出者保管用)作成し、輸出者(選果こん包の実施依頼者を含む。)に交付するものとする。
 
第8 輸出検査
1 登録生産園地で生産され、登録選果こん包施設で選果こん包が行われたカナダ向けりんごの輸出者(以下「輸出者」という。)は、植物等輸出検査申請書(規則第14号様式(イ)。以下「輸出検査申請書」という。)に実施報告書を添えて、あらかじめ輸出検査の実施を希望する植物防疫所の植物防疫官に提出するものとする。
2 植物防疫官は、1の輸出者に、あらかじめ輸出検査の実施予定日時及び実施場所を通知するものとする。
3 植物防疫官は、次により輸出検査を実施するものとする。
(1)実施報告書により、輸出されるりんごが登録選果こん包施設において選果こん包されたものであることを確認すること。
(2)輸出検査の単位
1回の選果こん包作業で取り扱われたカナダ向けりんごを1つの輸出検査単位(ロット)とすること。
(3)1輸出検査単位当たり、2パーセント以上の数量を無作為に抽出し、次について確認すること。
ア 検疫対象病害虫が認められないこと。
イ 抽出したりんごが含まれる各こん包の側面に、第7の1の(10)の表示があること。
ウ 抽出したりんごが含まれるこん包には、土、枝葉等の混入がないこと。
エ 検疫対象病害虫の食入痕が認められる果実は全て切開し、寄生の有無を確認すること。また、寄生が疑われる果実が発見された場合は、当該輸出検査単位内の最低10個のりんごを切開し、寄生の有無を確認すること。
(4)輸出検査の結果行う措置
ア カナダ向けりんごの輸出条件に適合すると認められた場合
下記の追記を行った合格証明書(規則第18号様式(ロ))を交付すること。
 
    "The fruit in this consignment meet the requirements of the Expoer Prograam for Japanese Apples to Canada and was inspected and found free from Monilinia fructigena, Monilinia mali, Monilinia polystroma, Adoxophyes orana, Carposina sasakii, Conogethes punctiferalis, Grapholita dimorpha, Grapholita inopinata, Grapholita molesta, Spilonota spp., Stathmopoda auriferella and Amphitetranychus viennensis.
 
イ 検疫対象病害虫が発見された場合
当該輸出検査単位を不合格とする。また、発見された検疫対象病害虫が、モモシンクイガ、スモモヒメシンクイ、リンゴコシンクイ又はナシヒメシンクイの場合は、植物防疫官は当該りんごが生産された登録生産園地に係る第4の3の登録を取り消すものとする。
ウ 植物防疫官は、イにより登録生産園地に係る第4の3の登録を取り消したときは、当該登録生産園地の生産者又は生産者団体等の責任者に対し、取消しの理由、標札を撤去すべき旨及び当該登録生産園地産の当該年産のりんごは殺虫処理を行わない条件ではカナダ向けに輸出できない旨を通知するものとする。
エ ウの通知を行った植物防疫官は、当該登録生産園地の生産者又は生産者団体等の責任者、当該登録選果こん包施設及び当該保管施設の責任者に対し、原因究明及び改善措置について報告を求めるとともに、植物防疫課長に報告するものとする。
オ エの報告を受けた植物防疫官は、必要に応じて現地確認を行い、その結果を植物防疫所長を通じて植物防疫課長に報告するものとする。
 

 



別表
第1号様式
第2号様式
第3号様式
第4号様式
第5号様式
第6号様式
参考様式